学術プログラム
*抄録の閲覧にはパスワードが必要です。参加申込完了通知に記載してあります。
津々浦々/PICU awareness week合同企画:地方の小児集中治療では何が起こっているか
PICU awareness weekは、World PICU dayに合わせて開催される小児集中治療の世界的な啓蒙活動であり、日本でも有志によってPICU awareness week in Japan(以下awareness)として運営し、今年で4年目を迎えたセミナーです。そしてワークショップ(以下WS)では毎年awarenessのスピンオフ企画を行なっています。今年のawareness は初めての地方主催でサブテーマは「地方のPICU」でした。これはまさに今年のWSテーマ「全国津々浦々」に繋がります。そこで今回WSの一般演題応募者にもご協力いただき、ワークショップ/ awareness合同でこの企画をしました。
さて、日本においても小児集中治療の認知度は高まっていますが、地方と呼ばれる人口の少ない地域では、小児集中治療室・小児集中治療医が存在しない中、小児重症患者を診療しています。日本は狭い国であり、施設間は近距離であるにも関わらず、PICUへの患者集約は進んでいるとは言えません。また、PICUのない地域で、小児重症患者がどの病院で、誰に、どのように診療されているかは明らかになっていません。高齢化社会はますます進み、これからの日本を支える小児における重症患者の救命およびその質の向上は急務であり、小児医療に関わる医療者の役割は大きいです。このセッションでは、①PICUのない地域における小児集中治療の現状、②地方及び都市部における患者集約化や地域における患者情報共有のためのネットワークシステム構築の取り組みを発表していただき、それぞれの実情や問題点の共有、そして今後の発展に向けて議論します。
このセッションには用意したメッセージはありません。壇上そして会場から、それぞれのメッセージを発信しディスカッションする時間です。
あなた自身とあなたの隣の人のこと:産業医からのメッセージ
毎日忙しく過ごしています。
夜はぐっと寝て、そして朝はもう少し、いやいやもっと寝ていたいです。
休みも仕事をこなして、ほんとによく頑張っています。
でも、笑顔が減ったり、怒りっぽくなったり、眠れなかったり、最近怠けている気がするし、なんだか、、、、、違うかも。。。。。
それはあなた自身におこることかもしれないし、あなたの隣にいる人のことかもしれません。
そんな時どう向き合ったらいいのでしょう?今元気なあなたはそんな時戸惑うかもしれません。
いつもと違うかもしれないあなた自身とあなたの隣にいる人のことを、産業医の視点からお話しいただきます。
仕事が好きな方、仕事を頑張っている方、疲れている方、同僚が気になる方、ぜひ、産業医の先生の声に耳を傾けてください。
私の研究、興味ありますか? 研究紹介
皆さんは、研究について悩んだことはありませんか?「どんなテーマを選べばいいのか」「どう進めればいいのか」「みんな協力してくれるだろうか?」と、不安に思ったことがある方は少なくないでしょう。
でも、心配しないでください。どんなに成功している研究者であっても、悩みや不安を抱えているものです。むしろ、革新的で挑戦的な研究テーマほど、不安や苦悩がつきものです。研究者はまるで暗闇の中、一本のろうそくの光だけを頼りに歩んでいるような気持ちになることもあります。それでも、どうしても解き明かしたい、知りたいというテーマに向き合い続けることで、必ず道は開けます。
本セッションでは、研究の進め方に悩んだり、不安を感じたりしているあなたに向けて、4人の研究者のストーリーをお届けします。さまざまな分野で研究に挑む勇者たちの経験を聞くことで、きっと新たな力やヒントを得られることでしょう。
津々浦々・どこまで集約化
小児の重症例は集約化することが転帰の改善につながると言われ久しい。
わが国でも集約化を目指して各地でPICUが設置されてきたが、果たして集約化はできているのか? 欧米のような集約体制はできるのか?欧米は欧米で、PICU以外でも重症小児を診療するわが国なりの体制を考えても良いのではないか?…さまざまな地域・立場・考えから議論を深め、これからのわが国の集中治療を必要とする小児の診療のあり方を考える。
U35「多職種×多様性×若手が生み出す小児集中治療の魅力」
多職種連携は、タスクシェアによる医療者の業務負担軽減だけでなく、さまざまな医療専門職が介入することによって、医療の質や安全性を改善し、医療費削減へもつながることが期待されています。
日本集中治療医学会は若手の活動促進を支援するため、2022年からU35(Under35)プロジェクトを行っています。U35は、35歳以下の医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士、理学療法士等、多職種の学会員で構成されており、独創的で柔軟な発想で、創造的・革新的な活動を行い、若手のネットワーキング構築促進、次世代リーダー育成、若手主体による臨床、研究、教育企画の実践を目指しています。
今回小児集中治療ワークショップにおいて、多職種連携をテーマに、様々な職種から多職種で行っている取り組みや、ほかの職種へ望むこと、といった内容で発表およびディスカッションを行います。
なお、企業ブースにて「日本集中治療医学会 U35ブース」を学会期間中に開催し、多施設×多職種の交流、キャリア相談、学会コンシェルジュサービス(学会のまわり方相談)といった内容も準備しております。気軽にお立ち寄りください。
「その子らしさ」を守るために〜PICUでのリハビリやあそびを通した手つなぎ支援〜
「お座りできていたのに…」
小児集中治療室(以下PICU)では、重篤な状態にある子どもが多く、安静・安全を守るために多くの制限が強いられます。そして、PICUでの集中治療を乗り越え、病棟に戻ってきた子どもたちの中には、時に身体や言語発達の退行を認め、家族からの心配の声が聞かれることもあります。このように、身体的にも認知的にも成長発達段階にある子どもたちにとって、PICUの環境は、それらを妨げる可能性があることを考えておく必要があります。
諸外国では、成人の集中治療領域と同様にPICUでも早期リハビリテーションについての研究が積極的に進められており、それらを元に日本国内のPICUでも様々な施設で早期リハビリテーションの取り組みが開始されています。しかし、安全なリハビリテーションの実施やプロトコールの使用が推奨されている一方で、現場では、小児特有の疾患の多様性や複雑性、安全管理の難しさに加えて、年齢や成長発達に合わせた個別の目標や基準を設定する必要がwあることなど、実施における困難さを感じているという現状があります。
PICUという特殊な環境の中でも、子どもが持っている力を失わないために、私たちに何ができるのか?
本セッションでは、「リハビリテーション」と「子どもらしさ」を軸に、多職種が手を繋ぎ、職種やPICUという垣根を超えて子どもたちを支える方法について考えていきたいと思います。
WS初参戦!! こどもの輸液わいがや会「小児輸液療法の基本を学ぶ」
みなさんこんにちは。こどもの輸液ワイガヤ会です。「ワイガヤ会ってなんやねん!?」っていうツッコミを入れたそこのアナタ、とてもいいところに気付きましたね。ワイガヤっていうのは文字通りワイワイガヤガヤ、ざっくばらんにみんなで語り合うっていう意味です。こどもの輸液ワイガヤ会は、病態生理とエビデンスに基づいた安全かつ洗練された小児輸液療法を日本に普及させることを目的とした2019年に立ち上げた有志の勉強会です。私たちは小児の輸液療法について、時にエビデンスを交えて、時にそれぞれの施設の独自の経験則を交えて、演者と参加者も入り混じってワイワイガヤガヤしてきました。今回は小児集中治療ワークショップという輝かしい場をお借りしてワイガヤさせていただくことになりました。
みなさん、きっとそれぞれの施設で毎日のように輸液のオーダーをされていると思います。「このご時世メインは外液に決まっとるやん。」とか、「小児はだいたい低ナトリウムでっせ。」とか、当たり前のように毎日輸液して、何か問題があっても、だいたい対処法が決まっていて、だいたいうまくいくんじゃないでしょうか?我々ワイガヤ会では、その当たり前の問題について、少し立ち止まってじっくり考えてみたいと思っています。
今回は「低ナトリウム血症」をテーマにしました。
・ナトリウムと水を分けて考える。
・ナトリウムの濃度と量を分けて考える。
・尿の検査結果からこの後の血清ナトリウム値の変化を予測する。
こんな話題に興味がおありでしたら、ぜひお立ち寄りください。いっしょに心行くまでワイガヤしましょう!
もぐもぐおやつタイム〜企業PRセッション〜
今年のワークショップテーマである「津々浦々」は、地域の拡がりだけではなく、関わる職種の多様性も含んでいます。このセッションは医療者ではなく企業様にお話していただく企画です。
普段私たちが小児の重症患者さんを治療するにあたり、企業様から製品供給や情報提供をうけて医療を行っています。企業様は、製品やサービスを通じて小児集中治療に関わるチームメンバーと言えます。そして私たちが職種やそれぞれの専門性の視点を持つように、企業様は医療者とは異なる視点をお持ちのはずです。
今回、「企業様ご自身の言葉を学術集会において発信していただきたい」という長年の思いから、このセッションを企画しました。
製品に対する思い、小児集中治療での製品供給のむずかしさなど、企業目線でご紹介、PRしていただきたい、もちろんいつも私たちの施設で開催していただいている説明会と同様の内容もOKと企業様にはお伝えしています。
それぞれ得意とする製品、推しの製品だけでなくこだわりの製品、製品開発の難しさ、企業理念やポリシー、etc、さて、この時間で何が出てくるか楽しみです。
ところで、この企画は企画者の想像以上に、なかなかチャレンジングな企画であると企業様には受け取られているようです。そのハードルを乗り越えて参加する心意気を見届けに、みなさまどうぞご参加ください。
またこの時間は大事な大事なおやつタイムでもあります。
参加者の皆様はおやつも楽しみながらご参加ください。
小児呼吸シリーズ
体格の小さな新生児・乳児や、先天性疾患を伴う児など、小児患者の挿管・気道管理や人工呼吸管理を行う際には様々な不安や緊張がつきものです。小児の呼吸管理については、データの乏しさ、年齢・病態のバリエーションなどから、成人の管理を参考に行われている部分や、施設や医療者によって異なる管理が行われている部分も多いでしょう。小児はどのような点で成人と異なり、どのような点で成人と同様に扱って良いのか? 挿管の際に注意することは? 気管チューブのカフはどのように管理するのか?そういった疑問にお応えすべく、小児集中治療の領域でご活躍されている先生方からお話を賜ります。
呼吸管理サポート どれを選ぶ?
子どものサチュレーション(SpO2)が低下している、意識が低下し陥没呼吸になっている、頻呼吸になっている…。何かしなければならないのは分かっていても、挿管すべきか、その他の方法で補助すべきか、判断に迷うことは少なくありません。呼吸サポートを要する患児といっても、その病態や重症度、年齢・体格、基礎疾患や合併症など、状況は様々です。そこに明確な答えは無いとしても、各サポートの特徴を良く理解することは、デバイス選択や変更の判断、管理方法、評価方法などの助けになるでしょう。
小児集中治療における共通言語の作り方(多方面との連携)
日本国内における小児重症例の診療は全国津々浦々、様々な環境下で行われているのが現状です。こうした背景の中、小児重症例の診療には、小児集中治療医だけではなく、一般小児科医、(成人)集中治療科医、集中治療室の看護師、一般病棟の看護師、さらには薬剤師、理学療法士、心理士、栄養士などなど多岐に渡る専門性を持った職種の方々が関わっています。
本企画では、こうした「多方面との連携」にスポットを当てて、よりスムーズで正確な連携強化について考えます。小児集中治療医と一般小児科医との連携、小児集中治療医と(成人)集中治療医との連携、集中治療室と一般病棟との連携、高次医療施設と一次・二次医療施設との連携の4つのテーマに分けて、連携強化のためにどのような「共通言語」を形成しているのか、4つの施設の方にお話ししてもらいます。
実際の各施設での取り組みや問題点を共有し、より多くの医療者が小児重症例の診療に寄与することができる仕組み作りについて、会場の皆様のご意見も頂きながら考えていきたいと思います。
様々な施設で小児重症例の診療に携わっている全ての皆様が対象です。皆様のご参加をお待ちしております。
子どもが集中治療室に入るとき・出るとき、スムーズにいっていますか
~小児RRSをうまく活用するために様々なジレンマを乗り越えよう~
こどもが集中治療室に入る時、そして集中治療室での治療が終了して一般病棟に転棟する時、様々な立場にあるスタッフが関わるため、難しさやジレンマが生じることがあります。一般病棟のスタッフが子どもの状態悪化を認識しつつもRRSに戸惑いを感じたり、集中治療室のスタッフが(もう少し早く入室してくれたらよかったのに)と思ったりすることもその一つです。
本セッションでは、4つの施設の方々に、小児の入室基準や成人とのギャップ、異なる部署・立場にある医療者間のコミュニケーションに関するジレンマ、PICU退室後フォローアップの実践と課題、医療安全部門や病院管理者との障壁や考え方の相違などに関するジレンマ、というそれぞれのテーマについて発表していただきます。そして総合討論を交えながら、子どもが集中治療室に入る時に生じるジレンマを乗り越えるための取り組みや円滑な受け入れのための小児RRSの活用について話し合います。また、集中治療室から一般病棟に子どもを送り出す時のタイミングや退室後のフォローについても話し合い、集中治療室で子どもをみる時の起点だけでなくエンドポイントについても考えます。小児のRRSがうまく機能していないことに困っている方はたくさんいらっしゃると思います。本セッションで、これらのジレンマを乗り越えるための対応を一緒に考えませんか。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
Quad C(The Crew of Critical Care for Children)若手小児集中治療医で悩みを語り合う/カフェトーク
Quad CはThe Crew of Critical for Childrenの略で、若手小児集中治療医が”つながり”と”共有”をテーマに2020年に発足した有志の団体です。これまでに4回のオンライン勉強会や2回のワークショップ企画を通じて、全国津々浦々の小児集中治療医や小児科医、成人集中治療医との交流を深めてきました。
カフェトーク企画はQuad Cとして初めての試みです。以下のような、”Quad Cらしい”臨床やキャリアに関するテーマを準備しています。小児集中治療を志している先生、研修中の先生、そしてベテランの先生が集まって、リラックスした雰囲気の中で語り合いましょう。
【臨床テーマ】
・神経集中治療
第6回Quad C勉強会でのテーマをもう一度!勉強会に参加した方も参加していない方も大歓迎。神経集中治療に関する疑問や相談を共有し、臨床に役立つ知識を深めましょう。
・小児集中治療医からみた成人、成人集中治療医からみた小児
お互いの領域について意見交換し、苦手意識を払拭しましょう。もしかすると、難しく考えすぎているだけかもしれません。
・PICUじゃなくても小児集中治療医ができること
こども病院などの大規模なPICU以外で、小児集中治療医が子どもたちや病院、地域にどのような貢献ができるのか。ディスカッションを通じて、小児集中治療医の新たな価値を見出しましょう。
【キャリアテーマ】
・小児集中治療医を志す先生の不安を解消します
研修前の準備や研修後のキャリア形成などの解消に向けて、先輩小児集中治療医がアドバイスします。
・小児集中治療医のワークライフハーモニー
小児集中治療医がどのようにして、研修や留学、大学院などのワークと、結婚や育児などのライフを調和させているのか、それぞれの体験や工夫をシェアしましょう。
人数把握のため事前登録制としていますが、当日参加も大歓迎です。
皆様のご参加を心よりお待ちしております!
救急挿管。。。もう少しパフォーマンスを上げたいと感じている方に
―各職種のスペシャリトがステップアップのコツ教えます! 日々の疑問に答えます!!―
本企画に至った想
皆さんは、小児の緊急挿管において、「あの時どうすればよかったのか」「次はどうすればいいのか」「他の施設ではどのように対応しているのか」と考えたことはないでしょうか? ERやPICU、病棟での小児の緊急挿管は、子どもの命を救うための重要な医療行為ですが、実施頻度が低く、集まったスタッフとその場の状況に応じて行う難しさがあります。
しかし、小児の緊急挿管に関するトレーニングや情報交換の機会はこれまで限られていました。そこで、全国の看護師・医師、多様な立場のエキスパートたちと共に、シミュレーションを通じて学び合う90分を体験してみませんか?
本セッションの内容
まず、ファシリテーターによるデモンストレーションを行い、評価・準備・コミュニケーション・チーム診療のコツを解説しますので、若手の看護師・医師の方も安心してご参加いただけます。その後、1チーム4~6名の少人数制シミュレーションを行い、学びのポイントを自分のものにしていただく90分を一緒に過ごしましょう。ディスカッションや振り返りを通じて、日常業務で抱える疑問や不安を共有し、解決策を考えましょう。また、経験豊富な看護師・医師の方にも、チームコミュニケーションのコツやチェックリスト、準備体制のヒントなどを持ち帰っていただける内容となっています。
※見学も可能です。予約なしで当日会場にお越しください。
小児の鎮痛鎮静:教科書と実際はなぜ違う?
急性呼吸不全の小児を診療する際、鎮痛・鎮静の評価や調整、そして申し送りに難しさを感じたことはありませんか?教科書に記載されているスケールや評価ポイントは重要ですが、それらの多くは成人患者を想定して作られています。しかし、小児の急性呼吸不全の診療においては、患者の快適性だけでなく、酸素需要の抑制、呼吸努力の軽減やP-SILIの予防、デバイスの維持のために鎮痛・鎮静が使用されることがあります。そのため、重篤小児診療では教科書レベルを超えた、より深い鎮痛鎮静への理解が求めらるのです。
本セッションでは、3名のエキスパート(看護師、小児医師、成人医師)が鎮痛・鎮静について、基本から深堀りまで解説し、皆さんの抱える疑問や不安を解消します。
理想のPICU
全国津々浦々、各地域や施設の特性、また個々人の価値観を基に描く「理想のPICU」は、きっと多種多様で1つに絞ることはできないでしょう。それでも、それぞれが思い描く「理想のPICU」に向かって、もがき苦しみながら課題を乗り越えていく過程は、きっと各施設が少しでも「理想のPICU」へと近付くきっかけになるのではないか。そんな思いから本企画は作られました。
今回は成人ICU、こども病院のPICU、総合病院のPICUなど様々な背景を持つ施設の様々な職種の方々に集まってもらいました。全国津々浦々の知識と経験を結集して、よりよい小児集中治療のあり方について考えます。
前半では、3つのテーマに分けて、PICUにおける理想と現実の中で「私たちはこうありたい」という思いと、理想へ向けた取り組みの一例を提示してもらいます。
後半では、小児集中治療の現場ではまだまだ発展途上な状況にある3つの職種の方が登場します。それぞれの立場から、自施設での取り組みなども例示しながら、重症小児への関わり方について提案してもらいます。
津々浦々・地域の繋げ方
全国の小児の重症例をいかに早期に認識し、小児集中治療施設にどのようにつなげていくか、各地の取り組みを紹介し、わが国の重篤な小児患者の診療体制のあり方を考える。
ある日のPICU これで本当にいいのだろうか?~生命維持治療の継続と中止~
ある日のPICU、あなたならどのような考えを巡らせますか。
Case:5歳、急性脳症の患者さん。集学的治療を行いましたが、“脳死とされうる状態”と診断されています。ご家族は、臓器提供を希望されず、人工呼吸を終了し抜管してほしいと言っています。
Case:5歳、急性脳症の患者さん。人工呼吸管理中で、侵襲的治療は行わない方針です。これまで、栄養投与は行わず、浮腫予防のために輸液は最小限としていました。現在、るい痩が目立つようになり、栄養投与の再開が検討されています。また、気道分泌物は多く、吸引後には酸素化や換気が改善するため、1時間毎に吸引を実施しています。しかし、栄養投与や吸引というケアですら、子どもに苦痛を強いているようにも思えます。
重症小児患者に関わる多くの医療者は、子どもの救命が困難とされうる状況や妥当されるQOLの維持が困難とされうる状況において、その生命維持治療について「子どもと家族にとって何が最善なのか」と悩み、様々な価値観に直面し、葛藤するのではないでしょうか。このような課題に、唯一の正解を導き出すことは困難ですが、このセッションでは、ある日のPICUの一場面を取り上げ、子どもの最善の利益を主軸に、人工呼吸器の継続や中止、栄養・輸液・ケアの継続や中止について、“深く、正直に、実践的に”考えを巡らせたいと思います。
実演シンポジウム〜挿管チューブの固定、全国津々浦々の固定方法の工夫〜
「今日は小児の挿管患者さんを担当することになった。計画外抜管は絶対に起こしたくない…。でも、よく動くからテープはすぐに浮いてくるし、かといってチューブを押し付けすぎると褥瘡ができそう。強すぎるテープはスキン-テアの原因にもなるし。あ、今日も掲示板にWOCナースから大量のメッセージが…(当院だけ?)」
安静を保ちづらい小児の小さな顔に上手く気管チューブを固定するためには、担当する医師・看護師による工夫が必要です。成人と比べて皮膚が薄くて弱い小児では医療関連機器褥瘡(Medical Device Related Pressure Ulcer: MDRPU)やスキン-テアが発生しやすいです。これらは患者さんの痛みにつながるためなるべく防ぎたいですが、その一方で計画外抜管は可能な限り避けなくてはなりません。
本シンポジウムでは、全国津々浦々の4つの小児施設で日頃から小児の挿管患者に関わっている医師・看護師に集まってもらい、各施設のプラクティスや悩みごとを紹介します。施設間のやり取りからは、小児施設だけでなく混合ICUや一般小児科で挿管患者を診療している施設にとっても、明日からのより良いケアにつながるヒントがたくさんあるはずです。
また、今回はみなさんにも日頃気管チューブの固定やMDRPU・スキン-テアについて行っていること、感じていることをアンケートしてみたいと思います。今まで当たり前だと思っていたことが、実は全然当たり前じゃないかも!? 集計結果は当日発表します!
けいれん重積攻略法:これが我々の治療法だ!ー成人・一般小児科・小児集中治療医のアプローチを徹底比較
夜勤中のあなたは、持続する強直間代発作で救急搬送されてきた 大阪 太郎 君(1歳)の初療をします。何を準備し、どう評価し、どの順で診療しますか?人や施設によって違う?小児救急診療の最前線を、ケースベースで覗いてみませんか?ディスカッションしませんか?
てんかん重積状態は小児救急における代表的な疾患です。各国から診療ガイドラインが発表されていますが、実際の患者受け入れから評価、診療の進め方は、患者の状態や特性、医療者の診療方針、そして施設の環境によって大きく異なります。
本企画では、けいれん重積状態の診療について、異なる環境で活躍する3名が解説し、日本の小児救急医療の現実を語ります。今までけいれん重積状態の診療で困った経験のある方、診療でもやもやを抱えている方々、ぜひご参加ください!
主なディスカッションポイント
• Second / Third lineの抗けいれん薬
• 気管挿管のタイミングと薬剤選択
• 静脈路確保とその困難時の対応
RSV感染症攻略法:これが我々の治療法だ!
―成人・一般小児科・小児集中治療医のアプローチを徹底比較―
夜勤中のあなたは、救急外来に来院してきた東京こはるちゃん(1ヶ月)の初療をします。パッとみた感じ、具合が悪そうです。来院後のRSV迅速検査が陽性となりました。
どう評価し、何を準備し、どの順番で診療をしますか?小児救急診療の最前線を、ケースベースで覗いてみませんか?ディスカッションしませんか?
RSV感染症は小児科医であれば誰もが経験するコモンな疾患です。その一方、重症度はさまざまであり外来で経過観察できる症例から気管挿管、ECMOが必要となる症例もいます。本企画では重症のRSV感染症の子どもが目の前に現れた時にどのように対応するか、ケースベースで異なる3施設の立場の医師がディスカッションを行います。
今までRSV感染症の診療で困った経験のある方、日々のRSV診療でもやもやを抱えている方、ぜひご参加ください!
主なディスカッションポイント
• HFNC開始のタイミング
• 抗菌薬/ステロイドの適応や吸入薬の選択
• デクスメデトミジン含めた鎮静薬の適応
• 挿管のタイミング
• 転送の判断、転送に必要な準備
小児の吸引~Who(誰が)? When(いつ)? What(何を使って)? How(どうやって)?~
小児重症患者の管理において「吸引」は重要かつ危険が潜む手技の一つです。小児の呼吸生理を正しく理解したうえで、小児特有の病態別に「吸引」の際に気を付けるべき点を整理し、安全で有効な「吸引」について考えてみませんか?小児の吸引手技の実際の手順やポイントを紹介し、「吸引」によって得られる情報についても深堀することで、「吸引」を単なる痰を引く手技にとどめず、患者の病態把握の一助とできるようになることを目的とします。
本セッションでは、前半に講義形式で小児の吸引に関わる4つのテーマについて知識を整理し、後半に実際の吸引手技を実演し、Who(誰が)、When(いつ)、What(何を使って)、How(どうやって)吸引を行っているか、2施設の取り組みを紹介します。
小児の吸引手技に不安を感じているあなた、今のやり方が正しいのか迷いがあるあなたに是非ご参加頂き、皆さんと意見を交わしながら、明日からの診療に役立つ情報が一つでも多くお届けできることを期待しています。
論文レビュー:その診療、当たり前で済まして大丈夫?~小児の急性肝不全~
日々の小児集中治療診療において、「いつも通り」「セットで」「当たり前」と済ましていることが多くないでしょうか。しかし、少し立ち止まって、「それって正しいの?」「どこに根拠があるの?」「他のアプローチはあるの?」と考えてみませんか。
普段の診療における「当たり前」の根拠を見直すことは、実は容易ではありません。それには、生理学的な妥当性の確認、論文レビュー、そして批判的吟味、エビデンスの実臨床への応用などの高度なスキルが求められます。しかし、上級者や指導者へのステップアップには、このプロセスが不可欠です。
本セッションは、小児集中治療研究団体(INSPIRED)の提供のもと実施され、毎回高い評価を得ています。今回で第3回目となるこのセッションでは、最近の小児集中治療に関する重要な論文を通じて、私たちが「当たり前」とされていることが本当に妥当かどうかを一緒に考えます。臨床研究のエキスパートが、皆さんをエスコートいたします。
シン・小児敗血症〜新しい定義をどのように現場で使う?〜
2024年1月に約20年ぶりに小児の敗血症の定義が改定され、新しい敗血症の定義:Phoenix sepsis criteriaが誕生しました。新たな定義が誕生してから9ヶ月が経過しましたが、皆さんはこの定義をどのように臨床の現場で使用していますか。
本企画ではまず新しい定義の成り立ち、ポイントについて説明していきます。そこからガイドライン作成に関わった医師と、現場の小児集中治療医、小児救急医、PICU経験のある地方の成人集中治療医が、新しい敗血症の定義をどのように臨床に生かしていくか熱気の立ち昇る議論をしていきます。
「今までの敗血症の定義とはどこが違うの?」、「実際の臨床ではどのようにスコアリングしていくの?」、「現場で役に立つの?」、「そもそもなぜフェニックス??」
こんな疑問を持った方々はぜひ本企画にご参加ください。